平成17年度 がん特定領域研究 若手共同研究報告書

 

研究課題名:amphiregulin C-末端ペプチド断片(AR-CTF)の核内移行と遺伝子転写制御の分子機構 

 

若手研究代表者(申請者)        : 小屋恵理子

所属研究機関                :愛媛大学医学部 生化学・分子遺伝学分野

共同研究者                                    : 斉藤祥子

              所属研究機関                  :筑波大学大学院 人間総合科学研究科

 

 

研究成果概要 

 

Amphiregulin (AR) EGFファミリーに属する膜結合型増殖因子である。私達は (1) ARのカルボキシル末端が核に移行すること、(2) ARが転写抑制因子PLZFBcl6に結合すること (3)さらにARの発現量が扁平口腔癌細胞において異常に亢進していることを見出し、その核内移行機構およびAR-Cによる転写調節機構を明らかにすることを目的として本研究に取り組んだ。

最初に、Bcl6が転写抑制しているcyclinD2遺伝子のプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子に結合させたレポーターを用いてARshedding有無による転写活性を測定したが変化が見られなかった。そこで、AR-Cに相互作用する蛋白質を同定するために、AR-Cに対するポリクローナル抗体を用いて、ARが過剰発現している口腔癌細胞より免疫沈降によりARおよびARに結合する蛋白質の精製を試みた。しかしながら、用いた抗体ではAR-Cを効率よく免疫沈降することができなかった。その理由として、細胞内においてAR-Cは何らかのたんぱく質と結合しており、抗体がアクセスできない状態にあると考えられる。そこで、現在AR-Cに対するモノクローナル抗体を作成しており、物質と相互作用していない領域をエピトープとするクローンを得ることによりAR-C結合蛋白質を同定する予定である。