WORKSHOP '09


若手支援委員長の講評


 第10回がん若手ワークショップは、9月4日から9月7日まで、約百名の参加者を得て、蓼科高原にて開催されました。天気にはあまり恵まれませんでしたが、今年もたいへん活発な実り多い会となりましたことをまずお礼申し上げます。特に、各領域の若手支援委員(毎年来ていただき本当にありがとうございました)、特別講演をいただいた東京大学の中村祐輔先生(元気な若手も圧倒されていました)、そして事務局員の皆様、たいへんご苦労様でした。また懇親会のご援助をいただきました京都大学医学部の千葉教授、前川教授、どうもありがとうございました。  
 さて、今年のワークショップは例年以上に討論が活発でした。発表後の討論は、しばしば質問を打ち切らなければならなくなってしまいましたが、合宿形式の利点を生かして、懇親会やポスター会場などで討論を続けていただけたようです。また、昨年までの会で優秀発表者に選ばれた、榎本篤、大竹史明、狩野光伸先生がその後の研究の発展について、講演をされ、若手に大いに刺激を与えました。「がん若手ワークショップ・共同研究」を契機に研究が発展しており、参加者にとってよいモデルとなったことでしょう。  
 発表内容を見ますと、やはり、特定の分子名がタイトルに入るような分子細胞生物学的研究が主体です。分野としてはタンパク質分解が大きくなっているように感じました。一方、口頭発表、ポスターともイメージングの評価が高かったのですが、これは、今後の発展への期待点がかなり入っていたようです。また、疫学関係の研究者の参加が例年にもまして少なかったのは残念です。グローバルな視点からがん研究を討論できる疫学研究者は貴重と思うのですが、分子主体となっている現在のがん研究コミュニティーにはなじみにくいのかもしれません(しかしそれではますます孤立するのではないかと危惧するのですが)。参加者の方々のコメントは、Webにて公開しておりますが、学会では得られない参加者間の密なコンタクトが、若い研究者の方々に非常に刺激的であったことが分かります。がん特定研究は本年度で終了する予定ですが、若手ワークショップを次期支援研究班に引き継ぐことが、がん研究の発展に欠かせないことを実感いたしました。これまでに参加された若手研究者が、ここで培ったネットワークを生かして益々発展されることを祈念します。


がん特定領域若手支援委員会委員長  松田道行