WORKSHOP '08


若手支援委員長の講評


 第9回がん若手ワークショップは、9月3日から9月6日まで、約百名の参加者を得て、蓼科高原にて開催されました。今年もたいへん活発な実り多い会となりましたことをまずお礼申し上げます。特に、各領域の若手支援委員、講演をされた大阪大学の高倉伸幸先生、そして事務局員の皆様、たいへんご苦労様でした。またご援助いただきました京都大学医学部の千葉教授、平岡教授、武田教授、どうもありがとうございました。  
 さて、今年のワークショップの特徴は、女性が元気だったことでしょう。最優秀発表者の島田緑さん、優秀発表者の樋口麻衣子さん、ともに膨大なデータに裏打ちされた新しいモデルを提唱するというたいへんレベルの高い発表内容でした。他にも元気に質問される参加者が多く、頼もしく感じました。今年は、ポスターの数を少なくして会場をゆったり取りましたので、十分に討論できたかと思いましたが、全部を見ることができなかったというコメントもまだ多く、来年以降の反省材料です。私自身は、1/3くらいの方の顔と研究内容が一致でき、1/3の方は話をしたときに、どんな仕事だったか大体思い出せるくらいまでは勉強できました。研究者間のネットワークを構築するという目的には、はちょうどいい規模ではないかと思っております。  
 発表内容を見ますと、ゲノミクスやプロテオミクスのアプローチはルーチン化し、マイクロRNAとがん幹細胞研究が発展しつつあるのを感じました。一方、今後の発展が期待されるイメージングやシステム生物学はまだまだ少数で、もっと工学系、情報系との融合を進めていく必要があるように思います。参加者の方々のコメントは、Webにて公開しておりますが、他の学会や研究会にはない、参加者間の密なコンタクトが、若い研究者の方々に非常に刺激的であったことが分かります。がん特定研究はあと2年で終了する予定ですが、この若手ワークショップを存続することが、がん研究の発展に欠かせないことを実感いたしました。参加された若手研究者が、ここで培ったネットワークを生かして益々発展されることを祈念します。


がん特定領域若手支援委員会委員長  松田道行