WORKSHOP '09
 2009年度がん若手ワークショップ アンケートへの総括


 今年もほぼ100%のアンケート回収率となりましたことに感謝の意を表します。回答を寄せられた多くの方が、さらに一筆を寄せていただき、皆様の意見が非常によくわかりました。参加者の方々にたいへん喜んでいただき、事務局員一同うれしく思いますとともに、会を盛り上げてくださった全ての参加者の方々に、主催者を代表しまして心よりの御礼を申しあげます。

事務局としての反省事項 : ポスターの発表時間が短いという意見は昨年もあり、私もそう思ってはいたのですが、時間延長するにはどこかを削らざるを得ず、妙案はありません。懇親会をポスター会場で行いましたので、その場でポスターの説明をしている方もいて、はっきりと「懇親会およびポスター発表」にすればよかったかもしれません。来年の事務局に申し送りしたいと思います。

発表について : 「がん特定で予算を頂いているのに、がん研究からは離れているcell cycle, signalingがほとんどなのには疑問がある」とのコメントは、毎年いただいているものです。今年はありませんでしたが、これに対する反撃としては「臨床研究のレベルの低さに驚いた」というコメントもまま聞きます。自由に研究材料を選べれば質的に高い研究はできる、しかし、患者さんを相手にする研究で十分なコントロールや数を使った科学的にレベルの高い研究ができないのはやむをえない。さらに、基礎的な科学トレーニングを受けていない医者の研究に高い質を望むのは無理という声もあります。一方、患者を診ている人間しか持ち得ないモチベーションの高さは、しばしば驚くべきパワーを生み出します。若手支援委員長としては、こういう両面をもつがん研究だからこそ、本ワークショップのようにいろんな人間が集まって討論することで、お互いの足りないところを補ってもらい、自分の拠って立つ場所を確認してもらえればと考えています。質問については、建設的な意見がのぞましいとの声がいくつかありましたが、わたしは必ずしもそうとは思いません。「すばらしいご発表をありがとうございました。」から始まる質問は、「若手」ワークショップにはあまり似合わない。むしろ、お互いが厳しい質問をすることで、問題点をクリアにすべきではないか、とも思います。

平成22年度以降の運営 : やはり、旅費の支援は、このワークショップを続けるには必要でしょう。また、ポスドク・大学院生クラスが運営する形式のワークショップにしてはどうかと考えておりましたが、現状のまま進めてもらいたいというのが大勢の意見です。若手支援委員にとっては、毎年参加するのは負担といえなくもないのですが、シニアの研究者の参加が必要だという意見が大勢ですので、働き甲斐があったということでしょうか。場所についても、「なんでそんな田舎で」と思われるようですが、参加されたあとは、合宿形式のよさを肯定される方が多いようです。これらの意見を集約して次期若手支援委員会にも申し送りしたいと思います。

最後に、今後とも「がん若手支援員会」にご支援を賜りますようお願い申し上げます。

松田 道行
がん若手支援委員長
京都大学大学院生命科学研究科